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労務管理士と社会保険労務士の違いと注意点

社会保険労務士、いわゆる社労士は、れっきとした国家資格。弁護士や税理士と比べると知名度はまだまだ低いけれど、難関資格のひとつでもある。

では、労務管理士という資格をご存知だろうか?

「社労士とは違うの?」
「人事労務の専門資格?」
と思う人もいるだろう。

もちろん、労務管理士と社労士は別の資格。

今回は、労務管理士と社労士の違い、そして労務管理士の取得を考えている人へ、注意点をお伝えしていこうと思う。

労務管理士と社会保険労務士の違い

以下、順を追って解説する。

なお、文を少しでもスッキリさせるため、 “労務管理士” は “労管士”、 “社会保険労務士” は “社労士” と表記していく。

労管士は民間資格、社労士は国家資格

労管士は、一般社団法人日本人材育成協会や一般社団法人日本経営管理協会が認定する “民間資格” だ。
※ 「労務管理士」の商標登録は、一般社団法人日本人材育成協会が行っている。

社労士は、冒頭に書いたとおり “国家資格” 。

社会的な信用においては、まず国家資格のほうが強い。民間資格は、基本的には弱い(知名度や難易度がある程度あるなら信用されるが)。

労管士は簡単、社労士は難関

私は労管士の試験を受けたことがないので、体感的なレベルは分からない。

でも調べたところ、ほぼ全員合格できるほど簡単らしい。講座を受講し、講座内で行われる認定試験に合格すれば認定されるようだ。

一方、社労士は、合格率6〜7%ほどの難関。無勉層もいるので、その人たちを除くともう少し高くなるとは思うが、それでも難しい試験であることに変わりはない。

社労士試験に合格するのにかかる期間は、早い人だと3ヶ月。しかしそれは稀有な存在。通常は1年程度見積もったほうが良いが、一発合格者は少なく、何年も受験している人も多い。

労管士は講座主体、社労士は試験主体

労管士は、日本人材育成協会主催のケースでは、所定の講座を受講し、そこで行われる試験に合格すれば、資格を取得することができるようだ。講座に赴くのが困難な人は、インターネット上で受講・受験できてしまう。ちなみに、実務経験を有する人だと、試験を回避して取得できる道もある。

という感じで、労務管理士は容易く取得できてしまうシステムになっている。

社労士の資格は、国家試験合格のほか、一定実務経験か事務指定講習修了の条件が必要となってくる。やはり、試験こそ関所だ。

労管士はコスパが悪く、社労士はとにかく高額

労管士(2級)の資格を取得するまでにかかる費用は、2020年7月現在においては、講座が8,000〜20,000円。資格の登録料が20,000円。ほか、月会費等もかかる。1級取得を目指すなら、なおかかる。

決して安くはない額なのに、取得が簡単。で、(後述するように)特に役に立たない資格なので、コスパは悪い。

一方、社労士は、受験料は9,000円。あれだけの試験で10,000円を下回るのは安いもんだ。しかし資格の登録関連費用は、20万円以上かかったりすることも(地域によって額は異なるため、要確認!)。また、登録要件のひとつである実務経験に代わる事務指定講習があるが、そちらの受講料は77,000円。合計すると、とんでもない出費。

でも、社労士はれっきとした資格であり、信用も得られやすいため、コスパは悪くない。ただ、生かすも殺すも本人次第なところはある。

労管士は自己満、社労士は他己満

費用を支払って労管士の登録を終えても、何か独占業務ができるわけではない。知識の証明になるかは分からないが、簡単な民間資格である以上、自己満の世界といっても過言ではないだろう。

社労士の場合は、たとえば開業登録をすれば社労士を名乗ることができ、なおかつ、労働や社会保険に関する書類作成や提出を、事業主に代わってすることができる。あえて自己満という言葉に対応させて言うなら、他己満といったところか。

労務管理士に関する注意点

違いを把握していただいた上で、下記の注意点をお読みいただきたい。

労管士は社労士を名乗れないし、社労士の独占業務もできない

社労士を名乗って独占業務を行えるのは、社労士の登録を完了した人のみ。社労士試験に合格しただけではダメ。合格していない人は、言うまでもなくダメ。

つまり、労管士の資格だけ持っている人は、当然社労士を名乗れず、社労士の独占業務もできない。違反すれば罰則の可能性もあるから、決して生やさしくはない。

世の中には “エセ社労士” なる人がいるらしい。あたかも社労士のような顔をし、労務管理の専門家だと言って、社労士業務を平然と行おうとするそうだ。

専門家としてのプライドを持つのは勝手だが、社労士を名乗るとか社労士業務を行うとかは、社労士でないとダメなんだ。何も知らない人が「労務管理士」と聞くと信用しそうだが、安直に信じてはダメだ。

下手に履歴書に「労務管理士」と書いたら、書類選考で突っぱねられるかも

労管士は、名前だけ見るとかっこいい。何も知らない人が、「労務管理士」というワードを目にすれば、「すごそうだね!」と言うかもしれない。

しかし、人事労務担当者や現役社労士、そして資格マニアの人であれば、労管士の資格の役立たなさを知っていることだろう。「なぜ社労士じゃなくて労管士??社労士が無理だったから??」と疑問にも思うことだろう。

さらに、労管士の資格は、過去に悪徳業者によるトラブルも発生している。それを知っている人であれば、きっと抵抗があるに違いなく、書類選考の時点で突っぱねられる可能性もある。

労管士にもメリットが無いことはないが・・・

労管士の悪い点ばかりを書いてしまっているが、社労士とかの資格に詳しくない人にとっては、素晴らしい資格として映る可能性がある。

単に「管理者」っていう言葉だけでも、まるで管理職のようなポストや、ある程度何らかの権限を持っている人のように思えたりするもの。

だから、労管士の資格を取得したら、使いようによってはプラスに働くかもしれない。

でも、やはり労管士で満足するのは早すぎる。たとえ信用されても、社労士の独占業務には指一本触れることはできない(社労士事務所や企業等で補助をすることならできる)。仮に労管士の資格だけで終えるとしても、社労士並みの知識がなければ、労務分野で活躍することは不可能だ。

だったら、がんばって社労士の資格取得を目指したほうが、たとえ登録しなくても、多くのメリットを享受できる気がする。

さて、あなたは労管士で妥協しますか?社労士を目指しますか?それとも、欲張って両方取りますか??