一部例題付き!社労士事務所の採用試験で受けた適性検査4例
これから社労士事務所の採用試験を受けようとしている方は、たぶん「適性検査ってどんなことをするのだろう?」と気になっていることと思う。
対策ができるものなら、対策しておくに越したことはない。そのほうが、頭の回転が追い付く。
というわけで、以前私が社労士事務所の採用試験で受けた適性検査の例を4つご紹介したいと思う。
当然だが、社労士事務所によってどんな適正検査を行うかは様々だろうし、その目的も異なるだろう。今回の4つは、数ある適性検査のうちのほんの一部である。そこをご了承いただける方のみ、読み進めていただきますようお願いします。
<話の流れ>
【例1】適性検査CUBIC(キュービック)
人事労務の担当者でなくても、就活に勤しんだ経験のある方だと、一度は聞いたことがあるのではないだろうか。
CUBICは、採用適性検査、モチベーション測定、能力検査などに分かれているが、採用試験で多いケースは、採用適性検査と能力検査だと思われる。私がある社労士事務所を受けたときは、採用適性検査のみの受検だった。制限時間はたしか20-30分程度だっただろうか。
採用適性検査の内容は、特に難しいことはなく、自分の考え方や状況に応じて素直に回答していくだけの心理テストみたいなものだった。この手のものは、ウソをついて回答すると、整合性がとれなくなったり、ズルい性格であることを見抜かれたりする可能性があるので、私はちゃんと正直に答えたつもりだ。出力される結果の中にも「信頼係数」というものがあるらしい。。。!
私の場合、残念ながら結果は教えてもらえなかった。今後の参考にもなるから教えてもらいたかったんだけど、悔しいことに、ペラペラの不採用通知だけが1枚届いた(-_-;)
なお、CUBICに限らず、こういったテイストの適性検査を行っている事業所は多いだろう。性格の検査以外に、言葉や算数などの能力検査を行っているところもある。能力検査がある場合は、SPI問題集やWeb検査問題集などで対策を練ることが望ましいかも。
【例2】実務的な給与計算
社労士事務所の採用試験らしく、実務的な給与計算を出題してきた事務所もあった。内容としては、残業代や欠勤控除すべき額の算出とかだったと思う。社労士試験の知識だけで対応できないこともないが、正確な記憶や実務経験がないとなかなか難しく感じる問題だった(今なら間違えないだろう、たぶんw)。
制限時間はナシだったが、計測はされていた。
ただ、ハローワークの求人票では「適性検査ナシ」となっていた。だから私はてっきり面接だけで済むと思っていた。試験問題を解けと言われたときは、正直驚いた。ありがたく内定を頂き入職したが、結局ワンマン所長に振り回され、最後はギクシャクして退職することとなった。当初の違和感は、割と当たっていたと思う。
試験の結果は入職後に教えてもらえた。計算過程はまあまあだったものの、解答としては全問 × だった!!\(^o^)/ それでも入れてもらえたのだから、やはり事務所によって、適性検査を行う目的は異なるってことだね。
とりあえずここでひとつ、例題を出してみよう。
A子さんは、昨年より下記の条件でB社に常勤している。 ・基本給:25万円 今月(2020年4月度)、A子さんは下記のような勤怠となった。 ・当初、21日出勤で1日あたり8時間労働(休憩は別に1時間)を予定していた。 以上の情報を踏まえ、A子さんの今月の法定外時間外労働に対する残業手当の額を求めよ。なお、今月の所定労働時間は168時間、割増賃金を割り出すときの割増率は法定の最低基準(2020年4月現在)とする。 |
さて、いかがだろうか?
はじめての人には難しく感じられただろうが、慣れればすぐにできるようになると思うので、今できなくても気を落とす必要はない。
で、解答例(解説付き)は、以下のとおり。
[1] まずは残業手当の1時間あたりの額を求める。 基本給25万円 + 資格手当1万円 = 26万円 26万円 ÷ 月平均所定労働時間170時間 × 1.25 = 1,911.7647…円 ※ かつべしじゅうりいちに注意! ※ 今月の所定労働時間で割らずに月平均所定労働時間で割るのは、毎月の残業単価にバラツキが生じないようにするため。 ※ 計算結果は、50銭未満切り捨て・50銭以上切り上げでOKだが、実務的にはそのままいじらないのが望ましいだろう。 [2] 次に、今月の残業時間が何時間かを求める。一ヶ月の変形労働時間制になっている点に注意! 暦日数30日 ÷ 一週間7日 × 一週間40時間 = 約171.43時間 より、 4月の法定労働時間は171時間 ↑今月は何週分に値するのか(4月は約4.29週)を求め、そこに一週間の法定労働時間(40時間)を掛けている。これにより、一ヶ月の変形労働時間制におけるひと月あたりの法定労働時間を算出できる(慣れれば記憶でいける)。 4月の実労働時間は、 (21日 × 8 日)-(2時間 × 3日)+(2時間 × 5日)= 172時間 したがって、法定外時間外労働時間は 172時間 - 171時間 = 1時間 ※ 一ヶ月の変形労働時間制であるため、一日8時間を超えようが一週間40時間を超えようが関係なく、ひと月で見ることになる。 [3] 最後に、[1] の結果に [2] の結果を掛ける。 1,911.7647…円 × 1時間 = 約1,912円 ※ 50銭未満切り捨て・50銭以上切り上げでOKだが、実務的には切り上げが望ましいだろう。 上記 [1] ~ [3] より、A子さんの今月の法定外時間外労働に対する残業手当の額は 1,912円 である。 |
なお、多くの社労士事務所では、給与計算は手動で行わず、給与計算ソフトを使用しているだろう。ただ、仕上がったデータのチェックでは、知識を駆使し、電卓を使って手動計算することもあろう(上記のように)。
【例3】ひたすら計算(足し算の筆算)
どんな名前の検査名かは忘れてしまったが、ある社労士事務所の採用試験では、とにかくひたすら計算をさせられた。その計算の内容は、最大7桁前後で10段くらいある足し算の筆算だった憶えがある。
はじめに採用担当者と面接があり、その面接を終えてから採用担当者から「○分くらいしたらまた来ますので、それまでに終わらせてください」との指示があった(制限時間は何分だったか忘れた)。しかし途中で所長が乱入してきていらっしゃって面接に。検査は中断となり、面接後に再開。最後まで解き切れず、自信も無いまま終了!
この計算検査が何を意味していたのかはよく分からないが、まあとにかく、処理能力のスピードや正確性を見ていたのかもしれない。実際、社労士業の仕事では電卓を使ったりエクセルで計算したりで済むシーンも多いものの、目視でデータチェックする際には暗算も多いため、計算能力はあるに越したことはない。
事前に「こういう検査をします」と教えられていれば良いが、そうでない場合は対策のしようがない。いきなり筆算をさせられるだなんて、誰が想像していようか。。
【例4】タイピング
例2の事務所では、実はタイピングもやらされた。文章の書いてある紙を渡されて「これを打ち込んで」を言われた。文章の内容は、社労士業に全く関係のない、他愛もないものだった記憶がある。
制限時間はなかったが、計測はされていた。入職後に聞いた話だと「タイピングが遅い人は困る」ということだったので、給与計算検査よりも重要視していたと思う。
もし今あなたがパソコンをお使いなら、ワードやメモ帳等を開き、下記枠内の文章を正確に入力してみてください。
できれば5分以内、欲をいえば3分程度で!(見直しも含む)
僕は先日、久しぶりにチョコミントアイスを食べた。毎年暑い季節になると、無性にミント系のアイスを食べたくなる。あのスーッとした冷涼感がたまらなく良い。気分も爽快だ。特に熱々のコーヒーと共に嗜むミントアイスは最高だ。 だが、世の中には、ミント系のアイスが嫌いな人も少なくない。その人たちが言うには、「歯磨き粉の味がする」とのことらしい。たしかに、そう言われてみれば分からなくもない。でも僕は思う。歯磨き粉を口に含んだとき、これを食べたらさぞかし美味しいのだろうなぁと。だから、ミントアイスを口に含んでも決して不味くは感じないし、むしろ「ミントアイスが歯磨き粉の味なのではなく、歯磨き粉がミントアイスの味なのだ!」と思うのだ。・・・この感覚、あなたは理解できるだろうか?理解できないなら、別にそれでも構わないけれど…。 |
さて、いかがだっただろうか?
タイピングは、社労士業の仕事でも必要不可欠な能力だ。特にひとりで多くの仕事をさばくような事務所だと、メールや規則等の文面を素早く正確に打たなければならない。慣れていない人は、日頃からあらゆるサイトの文章を打ってみる練習をしたり、ブログを書くなどして鍛えておくと良いだろう。
とはいえ、スピードよりも正確性のほうが重要であることは言うまでもない。上の例題で何分もかかってしまった人でも、とにかく最後まであきらめずに打ったことや、一字一句間違えずに打てていることが肝心だ。
その他
ほかにも、調べてみると色々と出てくる。
採用コンサルを行っている社労士事務所もあるので、そういった所がどんな適性検査を推奨しているかうかがうことができる。つまり、推奨している適性検査を、自身の事務所の採用試験でも利用している可能性が高い。
そういう分かりやすい事務所なら、あらかじめある程度対策を練ることができるだろう。
また、あらかじめどんな適性検査をするのか教えてもらえるならば、対策しない手はない。
何をしたら良いか分からないなら、とりあえず下記のものからピックアップして対策を練るのが良いだろう。全く同じ問題が出ずとも、頭の体操にはなる。
あとは、労働関連法規の重要事項を確認したり、社会保険労務関連のトレンドをチェックしたりもしておくこともオススメしたい。