社労士は労働者の敵?味方?それとも・・・
「社労士には相談しないほうがいい」と、アドバイスをもらったことのある労働者はチラホラいる。
そう、労働者界隈では、社労士=労働者の敵で経営者の味方!というイメージを持っている人は少なくなく、実際、経営者に入れ知恵をしている社労士は多い。
では、社労士は本当に労働者の敵だろうか?
・・・現状は、
Yes!敵です!
と言いたくなる。今回はその理由を述べていく。
しかし本来は、中立的な立場である。
これについても順にお話ししていこう。
<話の流れ>
「社労士は労働者の敵」は、あながち間違いではない
社労士と一口に言っても色々なタイプがいるが、社労士事務所の多くは、ある会社の顧問となり、経営者たちのサポートをする。
誰が報酬を払ってくれるか?という目線で考えれば、答えは簡単に出る。
そう、会社の社長達が払ってくれる。お金を払ってくれる人に対してサービスを提供し、心地よくさせるわけだ。だから、サービス提供者である社労士は、言うまでもなく経営者の味方。
ときには経営者のワガママを聞いたり、グレーな手法を入れ知恵し、少しでも得をするように仕向けていく社労士がほとんど。私のいる社労士事務所もまあそんな感じ。顧問を切られたら儲けが無くなるわけだから、ビジネス的に考えれば当然のこと。
倫理的には「中立」
しかし、経営者の味方だけで良いのだろうか。労働者の味方をせずして、会社というものは良くなるのだろうか?
と私は考える。
そもそも、味方だとか敵だとか、そういう二元論を持ち出すから話がややこしくなる。
まず、誰の敵でもない。
それに、どちらかに偏って味方するべきでもない。
したがって、中立な立場といえる。
そりゃ、ときには経営者にとって美味しい話もあるだろう。でも締めるところはある程度締めないとダメだ。労働者に対しても、甘くしたらしたで会社の経営に響くこともある。だからといって弱きをくじくやり方をすれば、会社はブラック化し、不健全極まりないし、長期的には会社の経営に響く。
そうやって考えてみたら、社労士は、倫理的には中立性を保つのが理想といえよう。
バカな社労士は、「俺たちは経営者の味方だ。誰から金をもらってると思う?」と吹聴する。でも、労働者のことを “も” 考えられるように意識しないと、かえって会社の経営に良くない影響が出る。
バカな社労士もだが、社長たちもその辺はよく考えるべきことだと思う。
私腹を肥やすような社長や自分の得ばかりを考える社長の経営する会社は潰れれば良い。
「労働者の味方」と意識すべし
ちょっと矛盾するような事をいうと、社労士は、労働者の味方となるよう意識すべきだと思う。
「え?中立じゃないの?」
と聞こえてきそうだが、それはそれでOK。
だが、労働者って元々立場が弱い。経営者みたいに職場をコントロールできないし、お金も少ない。自由もなければ、権力もない。
となると、労働者の味方をするつもりでいるほうが、結果的にバランスが取れるんじゃない?と思うのだが、いかがだろうか。
経営者ってのは何をしなくても強い。労働者は弱い。だから、労働者を守るべき労働基準法が存在しているんだ。
労働問題は誰に相談すべき?
何か職場でトラブルが起きたときは、とりあえず弁護士に相談する形がベストだと思う。
労働局に相談する方法もあるが、所詮は行政。労働法の刑事罰関連なら動くことがあるが、重大でなかったり、民事的なことだったり、労働局では取り扱えない法律にかかわることだったりすると動いてくれない。
労働者の味方派の社労士に相談するのもありだが、社労士はどちらかというと、トラブルの未然防止的な役割を担っている。だから実際にトラブルが起きたときには、案件によっては解決できなかったりする。特に深い法律問題ともなれば、社労士が個別相談に応じること自体、実は違法(非弁行為)にもなることだってある。
だから、何かあったら、多少コストがかかっても、労働問題に強い弁護士に相談してみることをオススメする。