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出退勤時間を15分単位で記録管理することの違法性とリスク

特段の理由もなく、15分単位で出退勤時間を記録するように管理する方法は、違法である可能性が濃厚だ。

いや、原則としては違法!

と強く言うべきところだろう。労働基準法では、賃金は、働いた分は不足なく支払わなければならないことになっている。これを「賃金全額払いの原則」という。

しかし、これを守っていない会社は少なくない。

たとえば18:00終わりのシフトを組んでいるとする。しかし急ぎの仕事が発生し、しかもそれが意図せず長引いてしまい、上司もそれを黙認していて、18:08に退勤となった…。まあよくある話だ。

この場合、はみ出た8分は労働をしていた時間であるはずだ。そんなこと、保育園児に訊いたって「そうだよ!あのひとは18:00すぎてもおしごとしてたよ」と言うに違いない。

そんな子どもですら分かることなのに、大の大人ときたら、ああだこうだ御託を並べて「18:00と記録しといて」「手際良くやれば時間どおり終わったはずだ」「事前申告なしの残業なんだから認めない」「残るのはお前の勝手だ」と言い張り、8分を無に帰してしまう。

なんともふざけている。大の大人が何やってんだ!と言いたくなる。

たしかにモノは見方によって解釈が変わるが、労働者本人の能力不足によりやむを得ず退勤が遅くなったとしても、うまく仕事を与えなかった使用者の責任である。たとえうまく仕事を与えていたとしても、上司の指揮命令下にあって拘束された状態(あるいはそれとみなしても良いくらいの状態)ならば、労働と見るべきだし、はみ出た部分はきちんと給料が払われて然るべし。

私は上記のように考えるが、個別ケースだと、最終的には裁判でのジャッジによるものではある。

もっとも、本人がゲームをしていたとか居眠りをしていたとかで退勤が遅くなった場合は、その分は控除されて当然だけどね(でも、その証拠がないとか、時間の特定ができないとかの場合は、タイムカードや出勤簿の数字を信用するしかなくなるだろう)。

話を戻すが、15分単位で時間をつけていたら、後々ヤバいことにもなりかねないから気をつけたほうが良い。

たとえば、ある中華料理の会社は、タイムカードに15分単位や30分単位で記録していたせいで、労働基準監督署の指導により2億円5,000万円を超える未払い賃金を支払う羽目になった。

それは残業の “事前承認制度" が敷かれていない場合の話なので、その制度を採用していればそこまでヤバいことにはならなかったかもしれないが、それでもやはり15分単位等で端数切捨の時間管理には大きなリスクが潜んでいるといえる。

いざ裁判になったときには、その会社の時間管理方法やその時々の労働状況などを総合的に見ることになるだろうから、一概に「100%ダメだ」とまでは言えないものの、労働者をこき使って自分は甘い蜜を吸おうという経営スタンスならば、いくら合法であろうが労働者は納得するわけない。働く気を失ったり不安になったりして当然だろう。

意図的に残業して収入を増やそうとするモンスター社員というのも話題に上ったりするけれど、それをどうにかするのが上の者の責任であるし、満足できる基本給を与えられない経営者の責任でもあるから、そのモンスター社員が悪いとは一概には言えない。

いずれにせよお互い様なのだから、ケチな事を言わずに1分単位でつければいいと思うし、コンプライアンス的にも1分単位でつけるべきであると私は考える。

で、時間管理は時間管理できっちりやって、もし遊んでいたりしたら、そこはそこで注意なりして、それでも改善が見られないなら罰を重くし、いずれは減給の制裁などの懲戒処分を施せば良いのではないだろうか(ただ、就業規則にその旨を記載し、周知させておかないとダメ)。

まとめると、働いた分だけ賃金を支払うのが原則であり、1分単位で時間管理を徹底すべきだが、就業規則で明示されている懲戒処分については別次元の話として捉える、というわけだ。

なお、1分単位っていうのは日ごとの話であり、月ごとだと、30分未満の端数を切り捨てて30分以上は1時間に切り上げて計算しても良いことになっている。たとえば、1ヶ月で合計167時間25分だったら167時間ぴったりにするなど。ただこれは、事務作業の軽減が目的であり、労働者の不利にしてやろうとか有利にしてやろうとかという話ではない。

まあでも、無用なトラブルを防いだり、労働者のモチベーションを維持するためにも、なるべく実情に近くつけてあげるのが優しさってもんじゃないかな?と個人的には思う。