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履歴書で性別を書きたくない!という人へ

私は人事の事務を担当している。採用担当ではないので履歴書すべてに目を通すことはないが、新規採用者の履歴書は、事務処理上見ることになる。

「こんなめんどくさいもん、皆さんよく頑張って書いているものだなあ」と感心・・・というか共感するのだが、この履歴書の書式には、いくつか気になる点がある。

その一つが、性別欄だ。

多くの履歴書では、必ずと言って良いほど性別を書く欄がある。たいていは「男」か「女」に〇をつけることになっているだろう。

しかし、履歴書に記入する人の中には、「え!?性別??・・・」と戸惑う人もいるはずだ。いるはずというか、いるに違いない。

ここで「は?人間なんて男か女のどっちかしかねーだろ!」と思った人は、見識が浅はかすぎる。世の中には LGBT の人たちが存在するのだ。詳しくは述べないが、明確に男と女を分けることができない(自認できない)等の人たちだ。

そういう LGBT の人の中には、履歴書に限らず、あらゆる書類で男女を問われることをよく思わない人がいる。いや、男性だと自認している私ですら、性別欄を見るたびに「もし私の心が女だったら、これ、どっちに〇をつけるべきだろうか?」と考える。

では、性別を書きたくない(〇をつけたくない)場合、いったいどうしたら良いのだろうか?

答えはただひとつ。

 

書かなくて良いと思います!

 

・・・こういうと、たぶん多くの人事担当者から「お前は本当に人事の人間か!」とお叱りを受けそうだが、書かなくてはならないという法律などないし、義理もない。そもそも性別がどうであろうが、同じ人間だろう。書かなくてなんの文句があるってんだ!って話。

ただ、日本の一般的な(?)文化面から考えると、下記が懸念される。

・履歴書に不備があるとみなされる
・不真面目な奴だとみなされる
・抜け目のある奴だとみなされる
・気難しい奴だとみなされる

性別欄ひとつ書かなかっただけで、こういったデメリットを享受してしまう可能性がある

これは当然、履歴書の書式が一番に悪く、また、企業も悪い。

履歴書の性別欄は、いっそのこと廃止等すべきだろう。また、仮に空欄で提出された場合にどうしても性別が知りたいなら、企業側は、それが法律上の意味なのか心の意味なのか明確にした上で、面接等で尋ねるべきだろう。まあ、あまりズカズカと人の心に土足で上がり込むのはセクハラやパワハラになりかねないけど。

さて、ここからは 逆の意見 を述べる。

履歴書に性別を記入することのメリットとでも言うべきだろうか。いや、書くほうにはあまりメリットがないので、事務処理面でのメリットかもしれない。

私の日頃の仕事の一部は、雇用保険や社会保険の手続きなどだ。この手続き上作成する書類には、たいてい性別を記入する欄がある。たとえば、雇用保険の資格取得届には当然にある。雇用保険は、週20時間以上労働する人で31日以上の雇用が見込まれる人なら、例外を除いて加入しなければならない。つまり、短時間のアルバイターを除いて、無縁ではいられない制度なのだ。

さあ、私が何が言いたいかと言うと、もうお分かりでしょう。

履歴書の情報がベースとなり、その後のシナリオが進んでいくのだ。採用後に結ぶ雇用契約書には性別の記載が無かったりするため、事務人間としては、履歴書に書いてある情報を信用することが多い。性別情報もそう。もし性別が書いてないと、いくら「ゆうすけ」などの男性名でも、それのみで法律上の男性であると断定することはできない。早合点する人は「男に決まってるだろ」と言うが、思い込みほど怖いものはない。間違って行政手続きをすると、その後トラブルも起きかねない。国の保険は、お金が絡む上に強制力もあるため、トラブルが起きると本人も企業も不利益を被ったり、最悪裁判沙汰にもなったりしうる。無用なトラブルは未然に防ぎたいものだ。

だから、性別を書きたくなくても、「ごめんなさい。法律上の性別を書いていただけると助かります」というのが私の思い。

でもあくまで、それは企業側や行政側の都合であり、履歴書を書く人の気持ちを無視した意見だ。書いていただけると助かるが、「書きたくないなら書かなくていい」という答えは変わらない。

あとは企業側のジャッジ。それで採用されれば万々歳だし、落とされたら仕方がない。

ただ、採用された暁には、必ず男か女かを明らかにせねばならない時が来る。その時には、不本意であっても、法律上の性別を告げるようにしましょう。それも嫌なら退職しましょう。