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社労士になるには簿記の資格は特に必要ではない

社労士になりたいと思っている人は、あれこもこれも、取れる資格は取っておきたいと思うものである。FPとかビジキャリとか年アドとか衛管とか・・・。

そのひとつとして名高いのは、ずばり簿記。就職や転職に強いとされており、もはやリクルート用ライセンスと呼んでも良いかもしれない!

だが、社労士になるために必要か必要でないかの観点のみでいうなら、

簿記の資格は特に必要ない。

今回はその理由を解説していこう。

社労士に簿記が特に必要ない理由

理由は簡単。

社労士になるための必須要件とはなっていないからだ。それに、社労士業と簿記は、内容がかぶっていない。かぶっているとしても、「給与」とか「保険料」とかの単語ベースにすぎない。

外の世界からしたら似たようなものに見えるかもしれないが、両者は似てすらいないのだ。

私の勤めている社労士事務所の所長は、簿記資格をひとつも持っていないと言っていた。でも、それでも社労士として仕事ができている。

したがって、簿記の資格があろうがなかろうが、社労士になる上ではどっちでもいいのだ。

勘違いしてはダメ!簿記の勉強はしたほうがいい

ただ、私は「資格は特に必要ない」と言っているのであり、「簿記の勉強をしなくて良い」とは一言も言っていない。

可能なら、簿記の勉強はしておいたほうが良いかな。レベルでいうと、日商簿記検定の2級くらいが望ましい(最近難化しているので、余裕がない方は3級レベルでも良いかも)。

その理由は、簿記ができると、(開業等したときに)みずから記帳できるようになり、経営判断がしやすくなるからだ。

もちろん、専業で経営や税務をやっている人に比べたらサブ知識程度でしかないけれど、簿記ができるのとできないのとでは、物事の捉え方も変わってくる。数字が読めるというのはやはり強い。

また、社労士事務所の採用試験でも、簿記の能力があることをアピールすると、有利に働く可能性はある(事務所のカラーにもよるとは思うが)。その場合は、パッと見て分かりやすい日商簿記検定とかの資格があると良いかもしれない。

・・・という感じで、資格を取ることを第一の目的とするのではなく、「勉強してスキルにすることを念頭に勉強していたら結果的に資格を取得していた」という体(てい)になるのが自然な流れだろう。

注意!社労士は個別の税務相談をしちゃダメ

簿記の知識があると、個別の税務相談や記帳アドバイスや代理をしたくなる。

しかし、税理士法第五十二条でそれは禁じられている。

第五十二条 税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。

で、税理士業務ついては、税理士法第二条にある。

第二条 税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第十条の四第二項に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。第四十九条の二第二項第十号を除き、以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 税務代理(税務官公署(税関官署を除くものとし、国税不服審判所を含むものとする。以下同じ。)に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立て(これらに準ずるものとして政令で定める行為を含むものとし、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二章の規定に係る申告、申請及び審査請求を除くものとする。以下「申告等」という。)につき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行すること(次号の税務書類の作成にとどまるものを除く。)をいう。)
二 税務書類の作成(税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、請求書、不服申立書その他租税に関する法令の規定に基づき、作成し、かつ、税務官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第三十四条第一項において同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)で財務省令で定めるもの(以下「申告書等」という。)を作成することをいう。)
三 税務相談(税務官公署に対する申告等、第一号に規定する主張若しくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第六号イからヘまでに掲げる事項及び地方税に係るこれらに相当するものをいう。以下同じ。)の計算に関する事項について相談に応ずることをいう。)

上記に違反した場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられうる

簿記を知ってるからといって、得意顔で誰かの記帳をしたり相談したりするのはダメなのだ。

無頓着な人からすると、社労士も税理士も似たようなものに見えるようだが、社労士が簿記の知識を活かしたビジネスを展開する際は注意が必要なので、この辺はあわせて押さえておこう!

日商簿記3級と2級のメリット

簿記の資格は特に必要ないが、勉強は必要だ。そのとき、日本商工会議所の簿記検定3級から始めて、2級までの勉強がオススメ。

理由は、

  • 記述式だから体で覚えられる
  • 2級で税効果会計や連結会計のさわりが学べる
  • 知名度が高いため、履歴書に堂々と書ける

こんな感じだ。

税効果会計や連結会計について「は?何だそれ?」って人も多いと思うが、これはここ1,2年くらいの新しい分野で、1級から下りてきた内容。日商簿記2級は難化してしまったが、いい勉強はできると思う。

社労士にとって特に必要はない簿記の資格だが、勉強はしたほうがいいし、資格も、取れるなら取っておいて損はない。

ただ、社労士受験生は、まず社労士試験の勉強に全力を注ぐべきだろう。簿記の内容は社労士試験にかすりもしない。気を取られないよう、どうかご留意ください。