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「退職代行は弁護士しかできない??」に関する話

近頃、退職代行というものが広まってきている。その名のとおり、本人に代わって職場に退職を伝達することをいう。職場との確執があったときなどに便利なサービスだろう。

ネットでちょっくら調べてみても、退職代行サービスを行っている事業所は数多い。それだけ、職場との関係性が悪化して辞める人が多いということだ。

ところが、「退職代行は弁護士にしかできない」といった論調も度々見かける。弁護士しかできない独占業務には一定のものがあるが、退職代行もそのひとつであるという意見。弁護士の独占業務を弁護士でない者が行った場合、それを非弁行為といったりする。

たしかに、退職代行は非弁行為となる可能性も無いとはいえないが、あくまで “使者として” “伝達のみにとどまる” のであれば、それは非弁行為とまでは言えないのでは?というのが現在(2020年6月29日)の通説。なので、弁護士でなくても、使者として退職の意思表示だけをするならセーフということになる。

ところが、実際、トラブルも発生している。

Twitterを眺めていたら、「退職代行を依頼したにもかかわらず、会社の人が自宅まで来た」という内容のツイートがあり、それに対するコメントに「それは退職代行業者が悪い」というものがあった。

私が思うに、少なくともその業者は、単に使者として代行したに過ぎず、それ以上の交渉や相談はしなかったのでは?ということだ。でも、コメントには「その退職代行業者が悪い」と。つまり、コメント主は「その退職代行業者が 会社の人との交渉や諸々の調整等をしなかったとはけしからん!だから会社の人が自宅に来てしまったのだろう」と判断しているのでは?ということだ。

たしかに、よく考えたら、単に「辞めます」ということだけを伝えただけでは、会社の人は納得しないだろう。退職理由や退職日の調整、事務手続きの打ち合わせなど、きちんと話をしたいと考える人もいる。直属の上司や人事担当者であればなおさらだ。

でも、辞めた人側からしたら、とんだ迷惑であることも間違いではない。できることなら、退職代行業者には職場との調整や後始末まできっちりやってもらいたいと思うところだろう。単に使者として伝達してもらうだけでなく、本人の身代わりとなって、会社の人と相談したり詮索を阻止してもらったり、万一のトラブルにも対処してもらったりしてもらいたいはずだ。

しかしながら、そこまでくると、退職代行の範疇から外れてしまう。弁護士であれば本人に代わってやれてしまうが、弁護士でない者がやると非弁行為。つまり違法行為となる。

・・・そう考えると、弁護士でない者による退職代行サービスではちょっと頼りないことになる。それに、業者も業者で、非弁行為にならないようにするために細心の注意を払う必要が出てくる。となると、やはりお客さんが満足いくサービスは提供できず、さらには先述のようなトラブルが起きる可能性も高まるし、いざというときのトラブル対処もできない。

もちろん人それぞれのニーズに応えてのサービス。「単に使者として伝えるだけのサービスでいいよ」「安く抑えたいから弁護士は嫌」という人もいるだろう。だが、そうとは言っておきながらも、心のどこかではそれ以上のサービスを望んでいたりするはずだ。

よって、弁護士でない者が退職代行を行うときは、それなりの度胸と責任、さらには、何かあったときのための弁護士を用意しておくのが良い気がする。

このご時世だし、うまくいくと儲かるらしい。そのせいか退職代行業者も乱立している。違法まがいなことをしている業者もあると思うが、まともにやっているのであれば、単なる使者としての代行であっても、それなりに需要はあって然りだと思う。

◆参考◆
【弁護士に聞く】退職代行は違法?弁護士法違反・非弁行為の判断基準